事務所が動くようなので、真面目な話を。

おはようございますこんにちはこんばんは。

 

今回は真面目なお話をします。

タイトルの通り、著作権についてです。

コロナの影響で配信ライブが主となり、デビュー組もJr.も次々と配信を行っています。

以前よりジャニーズネットオンラインのトップページには注意喚起の文が掲載されていましたが、ついに、具体的に声明を出しました。

簡単に言えば、インターネット上で映像を売買・再配布している事実は確認している。

それは著作権を侵害する違法行為であること、然るべき対処をすること。

 

現在もジャニーズネットオンラインのトップページに掲載されている注意喚起文では

詐欺・詐欺等、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまうこともあり非常に危険です。

といった、こちら側を心配する旨も含まれていましたが、今回はそれも無いですね。

 

今まで色々なことを見て見ぬふりをしてきた事務所が、大々的に「動きます」と発表をしました。

よほど悪質であるという判断なのだと思います。

と、いうことで著作権についてを少し書いていきたいと思います。

著作権ってそもそも何なの?とか、どういう行為が違法になるの?というお話です。

 

とはいえ、専門家ではなく、勉強中の人間が勉強の一環として書いている程度の文であることをご了承ください。

また、自分自身が厳密に守れているかと聞かれると返す言葉もございません状態ですので、ところにより「お前が言うな」という部分もあるかもしれません……

間違った内容があった場合はコソッと教えてくださったら嬉しいです。

 

 

 

 (1)知的財産権

よく耳にする「著作権」という言葉。でも実際その著作権って何?なんのためにあるの?という方も少なくないかと思います。

著作権」とは「知的財産権」の中のひとつで、主に芸術的な創作活動により何かを創り出した人に付与される「他人に無断で使用されない」権利です。

著作権の他に、「産業財産権」と呼ばれる「特許権」「意匠権」「商標権」などがあります。

中でも著作権は、産業財産権と違い、権利取得のための「申請」や「登録」が一切不要で、著作物が創作されたその時点から権利が発生します。

2020年10月現在、著作権は作者の死後70年後まで保護されます。(団体名義の場合は公表後70年になります。)(後述する「著作者人格権」は著作者の死後であっても侵害する行為は原則的にしてはならない。)

 

そして、この知的財産権がなんのためにあるか、という話です。

知的財産権は、産業や文化の発展や創作活動の促進のために存在しています。

つまり、「エンターテインメントを守るため」に著作権は存在しています。

もう一度言いますが、「知的財産権」です。著作物というのは、れっきとした「財産」なのです。貯蓄や宝石、土地などと同じです。他人のクレジットカードを勝手に利用してはいけない、のと同じように、他人の著作物を勝手に利用してはいけないのです。

 

(2)著作権制度

定義:「著作物」とは、著作権法第2条第1項第1号にて、

「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

と定義されています。単なるデータの羅列や事実、定型文などのありふれた表現、工業製品などは除外されます。

「著作者」とは、著作権法第2条第1項第2号にて、

「著作物を創作する人」

 と定義されています。これは「創作活動を職業にしている人」に限らず、絵を描いた幼児や、作文を書いた小学生など、すべてが「著作物を創作した著作者」になります。

 また、なんらかの理由により「著作者」から権利を譲り受けた人を含み、実際に権利を所持している人を「著作権者」と呼びます。(著作者=著作権者ではないことがあります。)

 

 一言で「著作権」と言ってもその内容は様々です。複製や上演など、それぞれの行為に対する「支分権」をまとめた「権利の束」のことを著作権と呼んでいます。

 著作者に対しては、「これをされたら著作物の価値が低下し、利益を害することになる」といった内容の「著作権」と、「これをされたら著作者が人として嫌な思いをする」といった内容の「著作者人格権」が付与されます。

 またこの他にも、著作物を伝達する役割を担う者に付与される「著作隣接権」という権利も存在しています。CDを作成するレコード会社や、番組を放送するテレビ局などがこれに該当します。

    例えば、1曲の音源には「曲の著作権」、「歌詞の著作権」、「それら著作者の著作者人格権」、「歌唱したアーティストの著作隣接権」、「レコード会社の著作隣接権」が存在しています。

    楽曲自体の著作権に関しては、ジャニーズ楽曲はすべてJASRACが管理しているので「J-WID」というサービスで確認することができます。JASRACのホームページから飛べます。

    

 

 (3)侵害行為

では、実際にどのようなことをすると「著作権の侵害」になるのか。支分権をひとつひとつ解説しても意味が無いかと思うので、「これをすると、こういう権利の侵害になるよ!」という形式で紹介したいと思います。

 

①配布行為

まずは、今回事務所が声明を出すきっかけになったとみられる行為です。

コロナの影響でコンサートが配信されることが多くなりました。コロナ以前からもFC限定動画や、ISLAND TVのコンサート配信などに対してもこの配布行為は行われていたかと思います。時には、有料で。とはいえ、この配布行為に関して、有料無料は一切関係なく、違法です。

動画を、インターネットを介して拡散することは、「複製権」(第21条)、「公衆送信権」(第23条)の侵害になると考えられます。

「複製権」はその名の通り、著作物をどのような方法であれ複製することを指します。動画の配布を行う場合は、自分の持っているデータがあり、それをインターネット上にコピーすることになりますので、これに当てはまります。

 また、「公衆送信権」の中には「送信可能化」という概念もあり、まだ他人と共有していない状態であっても、共有することが出来る状態にすることも、権利侵害とされています。(これに関しては個人がデータ管理の一方法としてクラウドサービスに保管することが違法になるかは、議論が続いている状態のようです。)

 配布された動画を受け取る側も「違法ダウンロード」という行為を行っていることになります。最近よくCMとかでも見ますね。犬のキャラクターのやつ。あれです。

 

②アイコン使用

 これも非常に多いかと思います。タレントの画像や公式のロゴマークなどをアイコンやヘッダーに使用する行為です。これについても、①と同様に「複製権」「公衆送信権」の侵害となると考えられます。

 さらに、アイコンに使用するために画像を加工する、トリミングするといった行為は、「著作者人格権」の内の「同一性保持権」(第20条第1項)にも該当する可能性があります。

 例えば雑誌に掲載された写真であれば、「こういう衣装で、こういうポーズで、こういう背景で、こういう構図で撮影する」というカメラマンや編集部のこだわりがあった上で完成しています。その写真を顔の部分だけ切り取る、スタンプで装飾する、フィルターをかけて色味を変える、等の行為は「改変」に該当すると考えられます。

 少し前に、他の事務所のタレントが「アイコンに使用することはやめてほしい」とはっきり明言し、話題となっていました。芸能人の画像となると、「肖像権」等も絡んできます。多くのタレントや事務所は「好意でやってくれていることだから」と黙認している、くらいのことで、許されているわけではありません。

 アイコンに関しては、自分の写真、自分で撮影した写真、自分で描いたイラスト、フリーイラストなどを使用するのが確実だと思います。が、時々勘違いがあるのが、フリーイラストについても決して「著作権を放棄した」ものではありませんので、各サイトや作者が提示する利用規約には厳密に従う必要があります。もちろん、中には加工などもご自由にどうぞ、というサイトもあります。

 

スクリーンショットやキャプチャ画像のアップロード

 こちらも「複製権」や「公衆送信権」の侵害になります。また、テレビ番組のキャプチャ画像の場合、「著作隣接権」にも該当すると考えられます。

 YouTube進出や、ISLAND TVの設立により、動画のスクリーンショットもよく見かけるようになりました。これに関しては、「このシーン面白かった!見てほしい!」など、宣伝になるという面はもちろんあると思います。ただ著作権法の観点で見ればグレーですらなくクロです。(おもしろテロップ付けて向こうも狙ってるだろ・・・と感じることもありますけどね(笑))

 YouTubeであれば、特定の場面を時間指定のURLで拡散するといった行為がやり方としては正しいです。ISLAND TVはそもそも短い動画が多いので全部見てもらえばいいでしょう。

 

④雑誌・新聞記事等の誌面アップロード

 そろそろお気づきかと思いますが、SNS及びインターネット上で他者の著作物を無断で使用する行為はほぼすべて「複製権」と「公衆送信権」の侵害になります。これに関してももちろんそうです。

 最近では雑誌の編集部公式アカウントで、実際に雑誌の誌面を投稿しているツイートを引用リツイートする形で注意喚起、取り下げのお願いをしているのを見かけます。

 また、各ドル誌が電子に対応し始めたこともあり、場合によってはスクリーンショットをするだけで、綺麗な状態の誌面画像を手に入れることもできるのではないでしょうか。(電子で買ってないのでわかりませんが・・・)

 この行為によって雑誌を買わずに済ませる人も少なからずいます。立派に利益を害しています。

 

⑤インタビュー記事やラジオ、歌詞の書き起こし

これ、たぶん勘違いしている人いると思います。誌面をそのままアップしていないから大丈夫だろうと。

しかし、著作権法第2条第1項第15号では

印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること(以下略)

と定義されています。インタビュー記事を自分で書き起こし、ツイートした場合であっても、この「複製」に該当します。ラジオ番組や、歌詞であっても同じです。書き起こす方法は、パソコンやスマホで打ち込むことも、手書きで書き写すことも関係ありません。

 

⑥演奏動画

例えば「舞台のあのシーンのBGMを耳コピしてピアノで弾いてみました!」とか、「この曲を楽器で演奏してみました!」などの動画をTwitterに投稿する行為です。こちらは「複製権」「公衆送信権」と「演奏権」の侵害にもなる場合があるかと思います。

これに関して、詳しくは後述しますが、演奏動画を「無断」で「Twitter」に投稿することはできません。

 

(4)著作物を無許諾で利用できる場合

 ここまで、著作権の侵害にあたるケースをいくつか紹介しました。上記以外にも侵害行為とみなされる行為は恐らくあるかと思います。(ぺパスタの販売とかどこまでセーフなんだろう、と個人的には気になっています。)

 しかし、実は著作物を自由に利用できる場合がいくつか存在しています。

 まずは(3)の⑥で少し触れた件についてです。

 先述した通り、ジャニーズ楽曲はほとんど(全部かな?)がJASRACによって管理されています。そして、JASRACはいくつかのサイトと「包括契約」というものを結んでおり、JASRAC管理の楽曲なら一定の条件を満たせば使っていいですよ、というシステムになっています。YouTubeやIsntagramでは楽曲の利用ができます。つまり、演奏動画の投稿ができます。(Inst音源に載せて歌うのは「著作隣接権」の侵害になるのでNG。伴奏も自分で演奏又は打ち込みなどで作成する必要があります。)

 しかし、Twitterはこれに含まれていません。なので、「Twitter」への投稿は無許諾であれば権利侵害となってしまいます。なので、演奏動画については、YouTubeなどに投稿し、そのリンクをTwitterに投稿するという形が望ましいです。

 また、はてなブログでは歌詞の利用ができます。

 これらはもちろん全く無料でというわけはありません。各サービスはJASRACとの包括契約に対して相応の料金を支払っています。投稿者ひとりひとりが許諾を得て、料金を支払う必要はありませんが、各サービス運営が支払うことで著作者に利益が発生しています。然るべきサービスを利用する場合も、頭の片隅に入れておくといいかと思います。

 

 この他に、著作権法の中には「例外規定」というものが定められています。例えば「教育目的」や「福祉目的」での利用など、許諾を得ずに著作物を利用することができる条件を定めています。

 その「例外規定」の中には、「私的利用の複製」(第30条)という項目があります。これは著作物の利用者自身や、家庭内などの限られた範囲内で複製することを認めています。但し、条件があるのでなんでも良いわけではありません。

 「私的利用」というのは「商用でない」という意味ではありません。「自分が使用する」ということだけを指しています。(これについては某振付師がSNSを始めたばかりの頃に誤用していたので注意のDMを送ったことがあります。直後に訂正を発信していたので慎重にSNSを使おうとしているのかと思ってました。あはは)

 

 あとは「引用」とよばれる方法です。「引用リツイート」などで使われる「引用」です。レポートや論文を書くときによく耳にする、あの引用です。

引用にも「主と従の関係であること」や「視覚的に引用部分が判断できること」、「引用する必要性があること」といった要件があるので気をつけましょう。なんでもありではありません。

 今回の記事のなかでもいくつか引用をしています。はてなブログは便利ですね。

 例えば、先述の通りTwitterJASRACとの包括契約を行っていないので、歌詞をそのままツイートすることは本来よろしくないですが、「○○○○っていう歌詞は□□□□のサビの歌詞のオマージュだと思う。」というように歌詞を引用した方法であればOKと言えるでしょう。(そもそも140字に収まる程度のワンフレーズくらいならOKという場合もありますが。)

 

(5)まとめ

 以上、今自分ができる範囲での説明というか、知識の共有というか、です。

 抜け落ちている部分、説明不足な部分もあるかと思いますが。

 日常的に良かれと思って、意識せずにやっていることが、誰かを困らせています。SNSを当たり前に使っている現代社会では、指先ひとつで簡単に権利侵害ができます。あまり偉そうなことを言える立場ではないですが、事務所も動くようですし。

 

 あと、一番伝えたいことは「今までなんともないし大丈夫」は無いと思った方がいいです。著作権法は時代の流れに合わせてほぼ毎年のように法改正が行われています。今年、2020年にはコロナウイルスの影響による法改正が、4月末には施行されています。(コロナ関係なく進められていたものが、コロナで前倒しになった、が正しいですが。)

 

苦情や訂正も受け付けますので、、、